睡眠と記憶に関する最新の知見をMatthew P. Walker先生に、また、今後の睡眠治療の動向に関してPhyllis C. Zee先生にご講演いただきました。
日時: 2009年7月4日(土)18:00〜
場所: フォーシーズンズホテル椿山荘東京
座長: 東京医科大学睡眠学講座 教授 井上 雄一
講演Ⅰ:Cognitive consequence of sleep and sleep loss.
演者:Matthew P. Walker, Ph.D
Assistant Professor of Psychology & Neuroscience
University of California Berkeley
講演Ⅱ:Relationship of insomnia to health and advances in treatment.
演者:Phyllis C. Zee, MD
Professor of Neurology, Neurobiology and Physiology
Northwestern University, Feinberg School of Medicine
共催: サノフィ・アベンティス株式会社/アステラス製薬株式会社
Best Oral Presentation Award American Academy of Dental Sleep Medicine 18th Annual Meeting. June 5-7, 2009, Seattle, USA.
Can we predict oral appliance treatment response to obstructive sleep apnea based on optimal positive airway pressure?
Tsuiki, S, Kobayashi M, Namba K, Oka Y, Inoue.
Sleep Breath 2009;13:310.
関連論文: Optimal positive airway pressure predicts oral appliance treatment response to sleep apnoea.
Tsuiki S, Kobayashi M, Namba K, Oka Y, Komada Y, Kagimura T, Inoue Y.
Eur Respir J 2009 (in press)
シカゴ大学のEve Van Cauter教授をお招きして、生活習慣病と睡眠障害についてご講演いただきました。
睡眠不足の耐糖能に対する影響や徐波睡眠抑制のメタボリズムへの影響など、世界的に注目を集めている研究成果についてお話いたきました。
日時:2009年6月5日(金)18:30〜
場所:ヒルトン東京ホテル
座長:東京医科大学睡眠学講座 教授 井上 雄一
講演:Sleep loss as a risk factor for obesity & diabetes
演者:Eve Van Cauter, Ph.D.
Professor of Medicine, Section of Endocrinology,
Department of Medicine, University of Chicago
主催:サノフィ・アベンティス株式会社
本講演会では、睡眠医療の効率化とこれに関連した医学教育をテーマとして、様々な専門分野の研究者約300名が集って活発な議論が行われた。
まずHarvard大学の D.White 教授が、診療・情換・共同促進のためにボストン周辺に設立された睡眠センターネットワークについて説明された。
このネットワークは地域の睡眠医療サービスの向上に貢献しているだけでなく膨大なデータベース集積により活発な臨床のソースになっており、大規模調査が臨床において必要不可になっている現状を考えると、わが国でも本学を中心にこのようなシステムの積極的導入を考慮すべきと思われる。
続いてMadrid大学の Garcia-Borreguerro教授により、欧米を中心とする睡眠医学教育のガイドラインと専門医認定制度の歴史と展望についての講演が行われた。
睡眠医学の社会的ニーズが高まるなか、この領域の臨床家・研究者を育成するための各国での取り組みがリアルに伝わる講演であった。
最後に、井上雄一教授が過症状の発現メカニズムと対応について、疫学と神経生理学・治療学的な側面から解説を行なった。
過眠症状による業務エラーや事故発現は国民生活に重要な影響をもたらすことがわかっており、過眠に対する総合的なアプローチは本講座の重要な研究課題になるものと考えられる。